2015年3月18日水曜日

バーク財団からのメトロポリタン美術館に作品と資金の寄贈で思うこと

前にも書いたけれど、もう一度。
メトロポリタン美術館にアジア部門ができたのは1915年なので、今年で100周年。
 先週からはじまったアジア・ウィークでも、メットのアジア部門100周年が
大きくフィーチャーされている。

先週金曜に、月曜(16日)朝9時に朝食会を兼ねたメディア・イベントがあると
いう緊急連絡が来て出かけてみたら、100年の節目を記念した作品と資金の寄贈・
遺贈の発表だった。
マイクの前はアジア部門チェアマンのマックス・ハーン、左には学芸員が数人
1915年にアジア部門ができたときは、2室しかなかったが、いまや50を超す展示室に
アジア(中国・韓国はもちろん、ヒマラヤ、インド、カンボジアやベトナムなど)の
美術品が並んでいる。

作品の遺贈はメアリー・バークさんから。
バーク・コレクションは在外の日本美術コレクションとしては出色のものであり、
ミホ美術館で2006年に展覧会が行われた。50年代に日本に旅行して、魅了されて以来、
コロンビア大学で美術史を勉強して個人的に収集したコレクションだ。
彼女は一昨年亡くなり、作品はメットとミネソタ美術館へ遺贈されると言われていたが、
今回具体的に内容が決まって、正式に発表されることになったというわけだ。

メットに来るのは300点強。それに加えて、バーク財団からは1250万ドルの作品購入
や教育などに使う資金も寄贈された。

 1250万ドルとはいまの換算レートだと約15億円。
日本美術の購入資金にこれだけの金額が使えるって文句なくすごい。
これで日本美術がさらに「流出」する、と思う人もいるかもしれないけれど、
私はそういう考え方はしない。

いつもアメリカで行われる日本美術の展覧会でお会いする日本の某国立博物館のS先生
も力説するところであるけれど、「日本美術は国外でどんどん見てもらってそのよさを
わかってもらわないとだめなんです」。

それは、私たちが日本で印象派(とは限らないけど)の展覧会を見て、そのおもしろさ
を知っているからこそ、パリへ行ったらオルセー美術館へ行く、ということと似ている
かもしれない。
日本美術に興味がなければ、日本を訪問しても、誰も東博や京博へいかないだろう。
興味を持つ人が多ければ、研究も発展するのだ。

メトロポリタンでは、 バーク・コレクション展が10月20日から行われる。

中国部門では、長年資金援助をしてきたオスカー・タン氏より1500万ドル
が寄贈された。

夜は夜で、アジア・ウィーク全体のレセプションがまたもやメトロポリタン
美術館で行われ、それにも参加。こちらも猛烈な人でした。
いま、メットの正面にはアジア部門百周年のバナー(赤)と鈴木基一の「朝顔図」が
最後におまけのビデオです。現在展示されている「東山遊楽図屏風」(狩野派)の
解説ビデオ。この作品は2013年にメットの作品購入資金で購入されたもの。
解説は学芸員のジョン・カーペンター 。