2015年12月16日水曜日

『宗達 創造の波』@ワシントンDC、フリーア/サックラー美術館

この項、書き始めたのに途中でややこしい仕事が入って、長く中断しました。
気を取り直して、書きます。

ちなみに、日経新聞にも書きました。(無署名ですがこのコラムには
過去にも書いたことがあります)11月14日掲載なので、かなり時間が
たってしまいましたが・・・。
日経新聞朝刊 11月14日(土曜)

 琳派400年(といっても、もうすぐ2015年は終わってしまうけど)を記念して
日本では様々な展覧会が企画されたが、ワシントンDCにあるフリーア/
サックラー美術館での「宗達展」もなかなかすごい内容だった、

核となるのはチャールズ・フリーアが集めた作品で、それにアメリカの
美術館、コレクターの持っている作品を加え、 プラス欧州からも。
日本からも何点か主要な作品が来ている。

フリーア美術館所蔵の宗達作品「松島図屏風」と「雲竜図屏風」は
日本にあったら国宝級と言われている。
フリーアは、まだ日本でも琳派にスポットライトが当たる前に、
宗達や光悦に興味を持った希有なコレクターだ。
 「松島図屏風」は1905年に、「雲龍図屏風」を1906年に、両方とも
小林文七という東京の美術商から購入している。

そして本展では、宗達、光琳など、琳派の主だった「松島図屏風」が勢揃い。
これがとても面白かった。
英語ではLegachy of Waves(波の遺産)というセクションで、
宗達の「松島図」に影響を受けたと考えられる作品が集められた。

フリーア美術館にある「松島図屏風」これは本当にきれいな絵、色がなんともいえない
美しさなのと、全体的にほんわり柔らかい感じがする。、

俵屋宗達「松島図屏風」右隻
宗達「松島図屏風」左隻
 




尾形光琳「松島図屏風」

↑ この宗達作品を模して光琳が描いたとされるボストン美術館所蔵の「松島図屏風」。
光琳の絵は、描かれているものの輪郭がはっきりしていて、波が印象的だ。グラフィックな
感じがするといってもいい。

このふたつが同時に1か所でみられるだけでもすごいことなのだが
(この二点は通期で展示されているが、実際には宗達の屏風が会場の一番最初の部分に
展示されてあるため、同じ部屋に並んでいるわけではない)
ほかにも同じテーマの作品が何点かあって面白い。

たとえば、バーク・コレクションからの〈Boats on the Sea〉は
松島図に似てはいるが、海の上半分に黄金の雲がかかっていて船が描かれている構図
の屏風。これは宗達工房によるとされているが、なんとも不思議なムードただよう世界が
描かれている。

そして「誰が袖屏風」(18世紀はじめ)。これがまた面白い。
室内で、着物が(衣桁ではなく)光琳の「松島図屏風」に掛けられている。
そして、よくみると室内に猫がたくさんいる。中には目の青い猫も。
柱や屏風に爪をたてている不埒な猫もいる。この絵は、画中画の屏風、罹っている着物、
猫、右隻の飾り棚の襖絵、そして奧に見える背景の景色、と見るところがあまりにも
たくさんあって、前を離れられないと言ってもいい。作者不明。
(フリーア美術館蔵)

鈴木其一にも「松島図」があった!ただしこれは一対の襖絵。
サイズは24.1x40.7cmとかわいらしい。
これはファインバーグ・コレクションから。
カタログの複写です。

そして、「松島・富士図屏風」(個人コレクター)
これは2014年にこの展覧会のために作品を探していたときに発見されたという作品。
発見というのは変だが、つまりひょっとしてこの作品は光琳によるものではないか
と 判定された、という意味だ。ラベルでは伝尾形光琳となっている。カタログの
解説では、光琳の筆と決めるには問題が多い(主として技術的なもの)が、
状況証拠 からするとそうであってもおかしくない(抱一が出版した『光琳百図」
にこれと同じ図柄の屏風が載っている、とか)。
左隻は、ボストンの「松島図」とほぼ同じ絵柄だが、全体的によりコントラスト
が強く、色も暗めで波も雲も灰色。
右隻には遠景にどうどうとした富士山、中景に緑の樹木生い茂る山並み、
手前に黒々とした波が描かれている。

このようにカタログの写真しかお見せできません。

残念ながらこの作品、12月12日で掛け替えになってしまった。でも、多分
近々どこかで出てくるだろう。

Sotatsu: Making Waves は2016年の1月31日まで
ワシントンDCのフリーア/サックラー美術館にて。入場無料

 他にもたくさん見所はあったのだが、きりがないので、
とりあえずこれでアップします。写真を全部お見せできなくてすいません。

作品の全リストは国際交流基金の下のリンクにあります。
https://www.jpf.go.jp/j/project/culture/exhibit/oversea/2014/11-01_2.html

最後に今書店に並んでいる雑誌『目の眼』1月号にも宗達展のことを書いています。
それには「松島・富士図屏風」のもう少しちゃんとした写真も載ってます。
なお、同誌2月号には白州信哉編集長のアメリカ美術館日本美術コレクション
紀行が載ります。