2017年3月10日金曜日

ルーブルでのオランダ絵画展(2)

フェルメール展の話題の続編です。

ルーブルはこのフェルメール展にどれほど人が集まってくるか予想していなかったようで
いま大混乱になっているのだそうな。初日には9500人がおしかけ、長い列が出来た。
時間指定切符申し込み用のコンピュータもクラッシュした。
ルーブル友の会の会員は並ばなくても入れるはずなのに、混んでいるので並ばされ、
苦情が殺到したとか・・。

このニュースでも出てきた数字は、展覧会会場に一時に入れる人数が200から250人という
もの。 これは前に別の展覧会でも聞いたし、バーンズ財団など常設展の入場者も200から
250人と言われた。それが安全、かつ快適に作品を見る事ができる人数だという。
 それを聞く度に、日本の展覧会ではそんな基準はあるのかしら?と 思う。
あの混雑では作品は見られないからだ。

話が別方向へ行ってしまったが、ルーブルではMasterpieces of Leiden Collection: The age of
Rembrandtという特別展もやっている。これは、オランダ17世紀絵画では世界最大と
いわれる個人コレクションの展覧会なのだ。
 これまで公にはされなかったが、最近のレンブラントやフェルメールの展覧会で 
ラベルに個人コレクションと書かれた作品はすべてここから出ていたと言っていい。

その個人コレクターが本展でベールを脱いだ。
今後はラベルにはライデン・コレクションと書かれるようになるだろう。
さらに一歩進んで、  それがニューヨークのトーマス・カプラン(とその妻、ダフネ)
のコレクションだと明らかにされるようになった。

カプラン夫妻はフェルメールの「ヴァージナルの前に座る若い女」の所有者でもある。


話すと長いが、私はこの作品の持主を探す努力を2008年あたりからしていて、
ロンドンやニューヨークの取材先で情報を集め、カプラン氏に辿り着いた。
詳しい話は『深読みフェルメール』(福岡伸一共著、朝日新聞出版)に書いた。
最初、電話したときは 本人(のアシスタント)は否定していたが、数年後には
自分たちが持っている、と肯定するようになった。
そして今回、公表することになったというわけだ。

カプラン夫妻は14年間で250点のオランダ17世紀絵画を収集した、という
から驚くべき集中力だ。この中にはフェルメール1点とレンブラント13点が含まれる。
財力もあると思うけど、現代美術にくらべれば、17世紀の絵はあまり高くない。

そしてコレクション創設の最初から、展覧会にローンすることも目的としていた。
だから「ヴァージナルの前に座る若い女」は多くの展覧会に出品され、
その過程で専門家に検討され、(収入も得て)、真作としての評価を確かなものにしていった
といわけだ。

もちろんフルタイムでないとできないが、収集家のあり方としてとても面白い。

この展覧会のハイライト展(フェルメールの「ヴァージナルの前の若い女」を含む)
が上海のLong Museum (龍美術館 モジリアニを世界最高価格で買った劉氏の美術館)
と北京のNational Museum、そしてルーブル・アブダビに巡回する。